2013年11月4日月曜日

人間というものがよくわかる 『スタンフォードの自分を変える教室』

スタンフォードの自分を変える教室

スタンフォードの自分を変える教室(単行本)
スタンフォードの自分を変える教室(Kindle版)

人間の「意志力」とはなんとはかなく、もろいものか。
ダイエットの決意も、勉学の決心も、3日も続けばいい方で、時間がなかったりどうしようもなく気分が落ち込んだり、他者からの断れない誘いであったりで、ともかく無数の言い訳とともに崩れ去る運命にあるのだ。
しかし、この著者(2010年にフォーブス誌「人びとを最もインスパイアする女性20人」の一人)は、そういった「欲望に負けてしまう人間」に対して「それは人間らしさである」、と非常に肯定的だ。この本の主題は、「意志力」なのだが、おいおい、そんなことで意志力の授業に、それも「自分を変える」と銘打つだけの内容になるの!?と思わせるほどだ。

しかし、「意志力=人間のどうしようもない欲望に打ち克つ力」という図式を、この本全体を通して、著者は壊してくれる。そして、新しい図式を示す。

「意志力=人間のどうしようもない欲望を、知り・観察する力」であると。

では、人間の欲望には、どのような種類があるか?そしてどんな罠に私たちは毎回ひっかかってしまっているのか?ということについて、著者は、心理学、経済学、神経科学、医学の分野の豊富な実験事例を引き合いに出して、解説し、読者を鼓舞し、シンプルな意志力のエクササイズにまで落とし込んでくれている。精神論でなくて、あくまでも人間への深い観察からみちびかれた「意志力のコツとエクササイズ」だ。

これで人気が出ないはずがない。

NYタイムズや、タイムで絶賛され、本書は世界的ベストセラーになっている。(原題は「The Willpower Instinct Based on the Wildly Popular Course of Stanford University」


興味深いトリビアとしては、、
  • サラダを見るとジャンクフードを食べてしまう
  • ダイエット中は浮気をしやすくなる
  • 脳はエネルギーをお金のように使う
  • タバコの箱に書かれた警告表示はかえって喫煙者の喫煙を促進する
  • 「やることリスト」がやる気を奪う
  • テクノロジーほど脳に強烈な依存症の効果をもたらしたものはない
  • 人はドーパミンが大量に放出されると、ほしくなったものを何が何でも手に入れなければ気がすまなくなる
  • ある程度のお金が確実にもらえるより、大金をもらえる可能性があるほうが興奮する
  • 自分を責めるよりも、自分への思いやりをもつほうがずっとよい戦略

などなどだ。

“つまるところ、欲望じたいはよくも悪くもありません。大切なのは、欲望によって自分がどこへ向かおうとしているのか、そしてどういうな場合なら欲望に従ってよいかを見きわめられるかどうかなのです”

あゝ、なんと人間らしさについて描かれた本であることか。これらの人間の欲望のメカニズムについて知っているか・知らないかが、あなたの目標達成におおきな影響を与えることは間違いないだろう。
休日にじっくり読んでみてはいかがだろうか。

スタンフォードの自分を変える教室
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